情報発信学・ニュースレター#21 SNS+PRの関係ー空気の醸成について
池松です。オリンピックも終わりお盆休みはいかがでしたでしょうか。今週からまた頑張りたいと思いますのでよろしくおねがいします。
SNSマーケ界隈では「SNSとPRは効く」と言われていますが、SNSだけでもPRによる記事だけでも成果には結びつきません。SNSと記事は密接な関係にありますがどのような構造なのか?シェアされるために何が必要なのか?書きたいと思います。
情報発信学とは、自分の仕事や興味関心のためにSNSを使ってどのように情報発信していくのかを体系的に学ぶことです 。世の中にはインフルエンサーやライターのためのスキルを教えてくれる場所は沢山あるのですが、自分の仕事やゴール戦略のためにどう使うか教えてくれるところはありません。SNSに振り回されたり踊らされたりしないで自分のゴール戦略にあった使い方を教えてくれる所はなかなか無いのです。と言うわけでSNSコーチングをはじめました。おかげさまで好評をいただいています。これからもSNS圏外の方へも役立つ情報をお届けできるように頑張りたいと思っていますのでよろしくおねがいします。
※情報発信学ニュースレターはほぼ毎週月曜日にEメールでお届けしています。
1:SNSと記事は相互に関係している
テレビと新聞の時代には「良いコンテンツを作ればいい」でしたが、「読者開発」しないと、良いコンテンツも届きません。SNS時代にはそれを届けること、そこから生み出される効果を考える必要があります。
皆さんは「イノベーション・リポート」を読まれたでしょうか。2014年にニューヨークタイムズのメンバーが社内外の数百人にインタビューした社内レポートだったのですが、バズフィードがスクープしたことで世界中のメディア関係者に読まれました。和訳資料をメディアコンサルタントの市川裕康さんがくれまとめてています。⇒ コチラ
1:Discovery 読者の発見
2:Promotion 積極的に記事をアピールする
3:Connection 読者との関係性築く
質の高いコンテンツを提供すれば勝手に読者が付いてくるのではなく、きちんと読者と向き合って、どうやったらサイトに来てくれるか、登録して課金してくれるか、カスタマージャーニーを作らないといけないというのがイノベーション・リポートのポイントです。
従来でしたら記者や編集者は記事を出稿したら仕事は終わりでした。現在では記事を出稿したところから始まります。つまり記者はSNSで何が起きているのか?何が読まれているのかウオッチして「どんな記事なら読まれるか?」「どんな記事ならシェアされるか」「シェアされた記事の方が有料記事を買ってくれる」と考えているわけです。というわけで、PR担当者やプロダクトマネージャーは、プレスリリースの前に「SNS時代の記者視点」を把握することが大事になっているのです。
2:メディア企業が寡占状態だった頃
以前は「どれを記事にするか」から記事の情報発信までOLDメディアの寡占状態でした。情報発信には放送設備や輪転機など大資本と流通網が無ければできなかったからです。 情報を得るためにはコストと時間がもの凄くかかったのです。スマホで検索すれば多くの情報が得られる現代からは考えられないほど不便な時代でした。「わたしは知ってる。あなたは知らない」という情報の不均衡が多数発生していて「情報の独占」にこそ価値がありました。
3:情報発信の民主化がメディアの行動を変えた
「何を言ったか」より「誰が言ったか」に注目が集まります。テレビでも「再生回数●●万回の」とか「フォロワー数100万人のインフルエンサーが」と評価が「視聴率」から「注目度」に移行しています。アテンション(注目)エコノミー(経済)へ移行している社会構造を理解することが大事だと思います。
アテンション・エコノミー とは・・・情報大洪水時代の社会で人々の「関心や注目の獲得(アテンションの獲得)」が経済的価値を持つようになり、貨幣のように交換材として機能するという概念で、 「貨幣経済」に対しての「関心経済」 のこと。
たとえば「緊急事態宣言中の東京都内で5月、30人以上の人気YouTuberが集まって宴会をしていたと文春オンラインが報じた件」がありました。これは記事にする側も「SNSで拡散されること」を考えていることを感じられます。以前ではこのような記事は考えられませんでした。メディアがSNSで拡散されることを意識するのは、彼らも記事を読まれなければならない所にあります。
4:SNSで拡散される「記事クラスター」
記事は読まれてなんぼです。PV数が広告売上と直結しているからです。というわけで、記者もまたSNSのアルゴリズムに踊らされています。良い記事はバズるに負けているのかもしれません。SNSの拡散は良い記事だから拡散するのではなく、かけたエネルギーで拡散されるワケではありません。アルゴリズムによって拡散が加速するのです。
SNSアルゴリズム とは・・・コンテンツの関連性に基づいて、ユーザーのフィードの投稿を並べ替える手法。 プラットフォームの次を「予測」して「配信」するための答えを導き出す計算式・プログラムのこと。
シェアされて拡散した記事がSNSに出回ることを「記事クラスター」と呼んでいます。クラスターとは同種のものや、集まり・群れ・集団です。この場合は「記事の群」もしくは「記事コメントの群」ということになります。ニュースピックのコメント欄もこの範囲に入ります。SNSで記事へのコメントは、記事UGC(ユーザー・ジェネレ―テッド・コンテンツ)と言えます。プレスリリースした記事が記事クラスターになる。UGCの発生が大事になっていると言っても過言ではありません。
UGCとは・・・「User Generated Content」の略。「一般ユーザーによって作れられたコンテンツ」のこと。
5:拡散はインフルエンサーから生まれるという誤解
ここで補足したいのは「拡散」の構造について誤解が多いことです。多くの人は「拡散ってインフルエンサーがバズるってことでしょ」と思っています。インフルエンサーの発言がドカン!と爆弾が爆発して広範囲へ広まるイメージを持ちがちです。下記の「✖」の方のイメージを持ちがちですので注意が必要です。
「〇」図のように、拡散とは少ないフォロワー数でもチェーンで繋がって横展開が広がっていく状態のことを指します。フォロワー数が多い人の一発ドカン!ではないのです。この認識が間違っていると話が噛みあわないので注意が必要です。下記のような「うわさ」の広がり方をイメージしてください。「桐島。部活やめたってよ」に対して「マジ?」とか「知ってた」という部分に「シェア」される構造がみえてくると思います。そのためには「余白」や「突っ込まれビリティ」が大事です。「余白」や「突っ込まれビリティ」は遊びココロから生まれます。シゴトだから真面目一辺倒では生まれません。ココロにゆとりをもてるように工夫しましょう。
6:トリガーポイントから連鎖を生む「空気の醸成」が大事
情報が拡散される「トリガーポイント」は下記の図の「円」が重なる★印にあります。★を起点に情報の連鎖が起きることで「空気の醸成」が生まれます。この「空気感」という目に見えない状況が大事です。今回は「PR(プレスリリース)」と「SNS」の円が重なるところをご説明しましたが、一点だけを準備しても効果があがるわけではありません。下記図のすべての★印にトリガーポイントがあります。自助努力でできることは、全てやる気持ちで準備しましょう。広報だからと言って「サラリーマン根性」で線引きをしているようでは成果をあげることはできません。積極的に協力することで領域を広げていきましょう。
7:PRと広告とマーケティングとブランディングのちがい
ところで、PRの位置づけに関して正しい認識が必要です。プレスリリースを出して記事にしてもらうためには、そもそも「自社のUSP(ユニークセールスポイント)」が把握されていなければなりませんし、自社のファンを増やそうとする努力がかかせません。それぞれの役割をはっきりさせて、日々の行動に落とし込みましょう。
8:誰にシェアされるか?
テレビ時代のPRでは「誰に言ってもらうか?」を考えていれば良かったのですが、SNS時代のPRでは「誰にシェアしてもらうか?」が大事です。そして「点の情報」ではなく「ストーリーとして流れ」がなければ「共感」は生まれません。そのためには、どんなストーリーがプレスリリースに書けるのか準備が大事です。ボーリングのヘッドピンが倒れて連鎖していくイメージを持つために、まずお手本となるケーススタディを探してみましょう。
情報発信学とは、自分の仕事や興味関心のためにSNSを使ってどのように情報発信していくのかを体系的に学ぶことです 。世の中にはインフルエンサーやライターのためのスキルを教えてくれる場所は沢山あるのですが、自分の仕事やゴール戦略のためにどう使うか教えてくれるところはありません。SNSに振り回されたり踊らされたりしないで自分のゴール戦略にあった使い方を教えてくれる所はなかなか無いのです。と言うわけでSNSコーチングをはじめました。おかげさまで好評をいただいています。これからもSNS圏外の方へも役立つ情報をお届けできるように頑張りたいと思っています。 SNSをビジネスに活かしたい方へ視野が広がることに少しでもお役に立てたら嬉しいです。
ではまた月曜日にお会いしましょう。
池松潤(いけまつ じゅん)
恋愛小説家/ サイボウズ式第2編集部 / 情報発信学 SNSコーチング ※詳しくは ⇒ コチラ
https://www.snscoach.net/