池松です。文章を書く人の特徴は文章を読む人だということです。本を読まない人は文章を書かない傾向があります。しかし文章を書けなくても情報アウトプットはできます。ということを前回youtube+noteを上手に組み合わせた方法 でお伝えしました。
情報発信学とは、自分の仕事や興味関心のためにSNSを使ってどのように情報発信していくのかを体系的に学ぶことですが、今日はその中核である文章について解剖したいと思います。この3~4年SNS界隈で増えたエモい文章とは何か?その本質をシェアしたいと思います。
「エモい」とは・・・
「emotional」が語源で『感情が動かされた状態/感情が高まって強く訴えかけれる心の動き』を指します。さらに翻訳すると「エモいとは、言葉にし難いが、誰かと感情を共有したいときに使うツール」という事ですが、さらに深堀すると「エモい」自体は感情の揺らぎを表現していて、その感情の動きはプラスのときもあれば、マイナスのときもあるのです。これは表面だけで読むと理解できません。そもそも論で「言葉にし難い≠わからない」という感覚からご説明しましょう。
「言葉にし難い≠わからない」という感覚は「ビールの苦みは美味しい」と思うか「ビールは苦くて飲めないから缶チューハイがいい」と例えるか。という感覚に似ています。目で読むことを舌で味わう感覚に入れ替えることで「読書感覚の変容」を別の視点で見ることができます。
「言葉にし難い」なら根元解決に向かって能動的にアプローチする事が「善」であった自分のような昭和世代には、「わからない」ことを「わかる~!」と共感するという事態が「感覚的に」受け入れる事が出来ないのかもしれません。
エモい文章が大量発生した理由
承認される快感へと導く「共感」という文章はSNS界隈では絶頂の状態にあります。「共感される」ことによってフォロワー数が増える売り上げが伸びる。その直線的な「目標到達」思考が「善」のように語られていますが、これはリアル社会だけで生きている人には見えません。気分を害さない文章。読みなれた文章に包まれる状況。これは自分にとって心地よい情報が目に入る環境であり「フィルターバブル」と言います。自分自身の感情的な好みのフィルターでできたシャボン玉の膜に包まれているような状態です。
「多くの人と共有したい」「みんなに役に立ちたい」と美しい言葉を並べていても、結果的に「あなたの世界観」がユートピアで、そこから「はみ出したもの」は受容出来ないという空気が充満しているのかもしれません。そもそも「理解しえない何か」は理解できない。それを「エモい」という便利なコトバで解決しようとするのは「エモい」の底流に「不寛容」が潜んでいるのではないでしょうか。
SNSに横たわる不寛容
「何者にならなきゃ」と「自分を評価してほしい」人が多いのはなぜでしょう。紐解くと「個人の市場価値を高める」ために発生したのではないでしょうか。より人生を豊かにしたい。その解決を直線的に行おうとして生まれたのだと考えます。
戦後の日本は「利他的欲求」が社会全体の強みになっていました。名も無い企業戦士が「我が身のことよりも家族やみんなの幸せの為に小さい努力を積み重ねる」。そういう価値観が「善」であり「共通願望」でした。インフルエンサーを目指すヒトにはそういう動機は見えません。別に昔が良かったと言いたいのではありませんが価値観が変化して美意識が変わってきたのだと思います。これを多様化と雑な解像度で過ごしていると「エモい文章」が大量生産される本質は見えてきません。
「何者にならねば」の人にリアルで会ってみてとわかるですが、自分の中に「原始的な価値」や「美意識」を持って居ない人ほど「多くの人と共有したい」とか「みんなに役に立ちたい」と耳さわりの良い美しい言葉を並べます。「何者にならねば」の人は実際に「困難な状況」や「何か自分と異なる美意識のヒト」と向き合ったときに残念なほどの「器の狭さ」を晒してしまいます。
不寛容なのに「寛容」を表したいのは「寛容になれないから」寛容を振る舞いたいからかもしれません。これがネットでは判別できない人柄であり「ネット不信派」がネットを全面的に信用できない大きな理由になっているのだと考えています。
情報大洪水の時代だからこそ、ハックしたり時短に表現する事が「善」という「行動様式」が思想の断絶の溝を埋める事を難しくしています。その前提は「頭の良いひとは難しいことをひと言で説明できるのが素晴らしい」という思考様式から生まれているのです。
エモい文章の賞味期限
SNS界隈の「エモい」文章の大半は、注意深く観察していると技巧によって「だれでもわかる内容をオリジナルな気づきに見せかけている」事がわかります。
それは技巧によって「問題」から複雑さを削ぎ落とし、理解可能な領域のみを抽出した事にすぎません。しかしその事には注意が払われません。何故ならば気分が大事というエモい至上主義だからでしょうか。
これは「だれでもわかる内容をオリジナルな気づきに見せかけている」ことで感情を揺さぶってフォロワー数を増やすのが特徴です。
もしこれから文章を書こうと思ったとき「エモい文章」をお手本にするのはおススメしません。特にマーケティングクラスター、ビジネス・クラスターの方はご注意された方がいいと思います。なぜならばエモい文章にもタイプの流行があってその賞味期限もまた短いからです。
では、どんな文章を書けばいいのか?それを書くと長くなるので別の機会にしたいと思います。もしあなたが文章を読むひとなら下記のコチラをどうぞ
https://note.com/ikematsu/n/n2a7ee46409b0
フォロワー数や、いいね数という「目に見えるもの」が気になって多くの人が反応してしまうのは現実として受け止めざるを得ませんが、 情報アウトプットの本質は見えているでしょうか。無意識のうちにSNSのアルゴリズムに最適化した道を選んでいませんか。SNSの奴隷にならないためには自分の目的とゴール戦略にあったSNSの使い方を覚えることが大事です。
というわけでSNSコーチングをはじめましたが、実践スキルにはSNSの使い方の情報をシェアすることが大事だと感じています。SNSをビジネスに活かしたい方へ少しでもお役に立てたら嬉しいです。
https://www.snscoach.net/
池松潤(いけまつ じゅん)
恋愛小説家/ サイボウズ式第2編集部 / 情報発信学 SNSコーチング ※最新情報・メディア・イベントなど詳しくは ⇒ コチラ