池松です。暑い日が続きますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。今回はSaaSエンタープライズ営業のコミュニケーション・デザインをテーマにお送りします。
池松潤(いけまつ じゅん)
コミュニケーションデザイン・情報発信学
東京都出身。慶応義塾大学卒業後、大手広告会社員時代に雑誌コラム連載・ビジネス書を執筆、国内5万部・海外版等。登壇・イベント・最新情報などは ⇒ コチラ
コミュニケーションデザインはココまでという決まった線はありませんが、ここ最近、営業コンテンツの相談が増えてきたので、なんだ?なんだ?と現場をヒアリングすると見えてきたのが「ストーリー営業 is 何?」。
NEW SALESを読んで傾倒したヒトが、モノを売るのではなく、ソリューションを売るのではなく、物語を売るのが営業。「さぁ!これからはストーリー営業だ!」と力んでみたものの「ストーリー営業」ってなに?が増えてるんだと。というわけで、ストーリー営業ってなに?あれれ?な方へお送りします。
NEW SALES
新時代の営業に必要な7つの原則
麻野耕司・著/ダイヤモンド出版/2022/6/8売
◎このMEMOを読むメリット(あなた次第)
1)古い営業OSをアップデートしたい
2)古い営業現場の生産性を高めたい
3)営業チームの成果が見違えるほど伸ばしたい
4)営業という仕事そのものの概念を変えたい
◎ストーリー営業ってなんなん?できるの?
マーケティング界隈では「ドリルと穴」という考え方があります。顧客はドリルそのもの(方法)を買いたいのではなく、ドリルを使って開けた穴(価値)を買いたいという考え方です。それも顧客は突然、壁に穴を開けたくなるわけではありません。
1:こんな家を造りたいなと想像する(理想)
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2:壁にラックを立てたいけど、ラックをはめる穴がないと気付く(課題)
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3:壁に穴を開ける道具が必要だと気付く(価値)
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4:穴を開けるためにドリルを買いたいと思う(方法)
※この流れに合致したら初めてドリルを買うのです。
これからの時代に求められる営業は「このドリルはこんなに性能がいいんですよ」と売り込む「プロダクト営業」ではなく、「どんなことにお困りですか?」と聞く「ソリューション営業」でもない。お客さまと一緒に理想の家を描いて、そこに必要な穴を見つけ(たふりをして)、このドリルは止めたほうがいいとか、このタイミングで買わないほうがいいとか、一緒に最適なドリルを獲得する。「旅を一緒にできる営業」のことを言うのです。
「理想 → 課題 → 価値 → 物語」を顧客と一緒に組み立てられる営業を「ストーリー営業」と呼びます。エンプラ営業・基礎体力を身につけて、一流のエンタープライズ営業になりましょう。。。
ってどうやるの!本に書いてないよ!具体的におしえて!な方はつづきをどうぞ。
◎ストーリー営業の本質とは「(潜在課題の)宝さがしの旅」である
まずは「ストーリー営業」の本質を理解して、表面的な単語に踊らされないようしたいですね。コスパや、売上ノルマに追われているあなたに「宝石さがしの旅」ができるか疑問があります。だってホラ。あなたには無駄な道に見えるだろうから。
◎「顧客の理想」ってなんなん?どうやって語るの?
そもそも顧客の理想ってなに?。どうやって語るの?ぞれは定形フォーマットにできません。だから事例から学び、経験を積み重ねるしかないのです。がしかーし、なるべくそれに近い感覚をイメージしてみましょう。
・3秒でわかる「理想のハナシ」の展開は「ビズリーチ!」
https://www.oricon.co.jp/article/1885981/
注釈※これCM絵コンテ風ね。CMコンテは尺が入ってたり違うからね。
◎顧客の理想とは「そうはいっても・・・」がつきまとう
顧客からの信頼がなければ、理想ハナシを語っても実を結びません。営業が恋愛に似ていると言われるのは「ヒトの心理・真理・深理」3つのスタンスにコツがあるからです。
心裡・・・そもそも売らないスタンス
真理・・・いま買わないほうがいいスタンス
深理・・・あなたのために最善をつくすスタンス
◎顧客の理想を語る前に準備が大事
その準備とは①「理解・分野」と②「営業活動・分野」のことです。
準備あれば患いなし。しかし全部揃ってから動けないようでは失格です。何点かピックアップして(※別解説)走りながら準備できるようになりましょう。
※例えるなら、サッカーは止まってパスをしません。走ってる先を予測してパスます。あなたも動きながら考えて行動できるようにしましょう。
①「理解・分野」とは
これはあなたの相場観のことです。以下の7つの理解のことです。
※相場観をたとえるなら、株の相場観、サッカーの相場観、将棋の相場観など、点でも線でもなく「面」で理解・認識することです。
☑1:社会状況・理解
世の中がどんな動きで変化しているか自分の言葉で語れる
☑2:業界状況・理解 業界を取り巻く様子を自分なりの視点で語れる
☑3:顧客企業・理解 中にいると見えないことを興味深く自分のコトバで語れる
☑4:商品・サービス理解 ユーザーや株主など利害関係者は見えて、中ではタブーなことなど、わかりやすく自分のコトバで語れる
☑5:個人状況・理解 相手の立場や先行きを理解して、的確な状況理解と愛のある案を話せる
☑6:競合状況・理解 先発・後発の競合社や担当者の痛いところや、やり返しまで予測しておく。それを仲間に説明できる。
☑7:自分の理解(仲間の理解) そもそも自分の置かれている状況や、一緒に戦う仲間の状況を冷静に見定めておく。それを説明できる。
②「営業活動・分野」
これはあなたの行動そのものです。信頼を得るための行動のこと。言動不一致が信頼を失います。言ってることやってることが一致すること。以下の4つの行動のことです。
✅1:ヒアリング(聞き出さない)
相手によりますが、ガッついて聞く人に魅力があるでしょうか。相手が無意識で喋ったとき、あなたのヒアリングスキルが高まった瞬間でしょう。
✅2:偶然性の創出(狙わない)
アポをとらないと会えないのは仕方ありませんが、本当は偶然あって「!」が生まれる方がイイに決まってます。その偶然は狙うから生み出すこともできるはず。どこに出没するか。どこなら自然な出会いができるか。そのくらい考えずしてどうしてプロと言えるのでしょう。
✅3:顧客提案(買わせない)
「そもそも営業とは、買わせるのではないのです。買いたくなるようにするのがあなたのシゴトです」もしプレゼンの時間をもらっているなら、それ以外に追い打ちの機会や、他では予想もしない機会を考えてますか。夢に溢れている営業というのは、いつもマジックを考えていることです。それに「◎◎愛」があれば嫌味になりません。あなたはベストを尽くしてますか。
✅4:クロージング(イマでしょ)
勇気は蛮勇ではありません。自分が信じる正しい営業プロセスを経てるか。勝負はどこか。知っていることです。精神的・心理的に負い目があるのではクロージングはできません。Sっぽいだけでもいけません。フェアで品性のあるクロージングがプロのシゴトです。(※別解説) ※あえて例えるならいつまでも告白できない少年のようではいけません。決め時は経験を積むことでわかるようになります。ご安心を。
◎ストーリー営業とは「LEGO」的な快感を感じてもらうこと。
夢があること。希望や可能性が感じられること。
※LEGOは体験でできでます。LEGOは体験の物語です。ストーリー営業とはあなたと顧客のLEGOです。LEGOとは、つかみ、はめて、できあがりをみて、またあたらしいLEGOをつくろうとする循環のことです。
✔:顧客に気づいてもらうこと。
ヒトに教えられたことより、自分で気づいた方が何倍も快感が走ります。教えるティーチングではなく能力を引き出すコーチングの感覚で。
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✔:自分で気がついてやってみる気持ちになってもらうこと。
気がついても「やる」までステップがあります。その階段をイメージすること。気持ちが高まるように導くことです。
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✔:そのための周辺サポートをすること。
そのヒトだけじゃなくて周囲を巻き込むためのお膳立てや段取りも協力することです。
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✔:やってみる機会を設けること。
フツーに使ってもらうのでもいいけど、テストプレイとか、体験会とか、やってみる機会や名前にも工夫をしましょう。
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✔:やってみた感覚が冷めないようにすること。
へぇ。で終わるな。どこが問題だったか?PMとシェアできてるか。そもそも「ココ変えられない?」に的確にレスポンスできてるか?そこで終わらない準備をしておくこと。
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✔:安心してもらうこと。
やっぱり実績が。有名じゃないから。心配はゼロにはなりません。絶対は社会にありません。安心してもらうとは「惚れてもらうこと」です。恋愛と似て「完全なる安心」より「どうしても会いたい安心」が大事です。
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✔:やってみた快感をシェアする気になってもらうこと。
感動までいけばシェアしてもらえますが、そこまで至らなければシェアしてもらえません。そのためにベストを尽くしましょう。ゲームセットまでボールを追いかけてますか?死力を尽くしてますか?最後の最後の最後まで諦めないことです。失敗してもそれが明日の機会になります。 ※蓋は開けるまでわからない。と言いますが、蓋は開けて中をみて閉めるまでわからない。というのが大事です。
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✔:一緒に夢を追いかける気持ちになってもらうこと。
このひとならば。と思ってもらうこと。信頼には積み重ねが大事です。
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✔・:一緒にゴールする喜びをもつこと。
その瞬間をイメージしてもらうこと。イメージを端的に伝えられること。その準備をしておくこと。心構えをしておくことです。
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✔:信頼関係を得ること。
いままでに書いてあることと真摯に向き合い努力する姿のことです。
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✔:常に目配りして先を見ること。終わりがないこと。
満足しないこと。足るを知ること。プロの矜持を持つことです。
◎さぁ一緒にストーリー営業しましょう。
ストーリー営業とは営業コンテンツをつくることでもあります。それは未来を一緒に創ることです。さあ一緒に旅をしましょう。
◎そもそもエンタープライズ営業ってなに?
ストーリー営業を支える基礎体力とは何かを書いておきます。いちおう念のために。
◎エンタープライズ営業は刑事への道
エンタープライズならではの特徴として(プロダクトにもよりますが)関係するヒトの数が多いことです。根回しや社内政治が存在します。エンタープライズ営業とは「犯人探しの刑事のように」です。ひたすらホシを探し、ホシの動機を知り、ホシの共犯者を探し、ホシの裏をかき、ホシの景色を見る刑事のような。
実際の営業活動としてはSMBとエンプラも中身は同じです。がしかし。関わる人間が多いからディテールは異なります。エンプラ営業とはホシを探すこと。そしてビジネスをうまく進めるための計画のことです。
ガチガチに固めた社内用の資料を作る必要はありません。情報を詰め込みすぎた数十ページにわたる資料も不要です。(分厚いのがお好きな場合は除く)ヒト探しをしていく中で、必要なものをアップデートをしていながら、シンプルに考えていくのが秘訣です。地頭が求められる所以かもしれません。
◎エンタープライズ営業・2つの基礎体力
エンプラ営業ほど「鋭い視点」と「広い視野」(刑事の標語)が求められるジャンルはありません。地頭が必要だと言われるのは「ひょっとして。。」という人間の勘が大きな成果に結びつくからです。サクッと集められる情報もあれば、表に出ない事情もあります。つまりググれカス!の反対側にもアタマをつかう**「両利きの営業」**視線が必要になります。
◎両利きの営業とは・・・ 形式知(目に見える数字など)と暗黙知(目に見えないあらゆること)両方の情報を生かした営業活動のこと
A:表面情報:効率よく様々な「視座」「視点」の情報。新聞記者に負けるな。
B:裏面情報:情報は「情けに報いる」と書く。目に見えないホントのナマ情報。
◎詳細・エンタープライズ営業・2つの基礎体力
※成果が出て速攻性・効果があることが最優先です。まずは動きましょう。この項目のうち(売りたいもの)にあった数点を調べて走り出しましょう。
1−1:公開情報で集められる情報
・企業情報(株主目線で・ユーザー目線で
・その他ステークホルダー目線で
・業界情報(業界地図・金融関係者からの情報
・商工リサーチなどの企業情報
・人事情報(異動時期・過去の異動など
1−2:仮説検証や想像する情報
・この会社の直近の課題
・中長期の課題について
・解決しない理由
・何が難しいのか
・解決しないと何がまずいか
・自分が社長ならどうするか
2−1:組織図(内部構造調査)をつくる
・組織の形態(座席表)
・役割(担当)・序列(ヒエラルキー)
・社内での当該部署のヒエラルキー
・稟議(レポートライン)はどう流れるのか?
・定期会議(経営・部門・部署)の存在・種類・スケジュール
・事業部・コーポレート
・経営委員会との関係性
2−2:個人の情報
・入社年次(同期など出世競争の状況・コネ入社だったか)
・学歴(学閥など)
・いつからその役職か
・以前はなにをやってたか
・そのヒトはどういう判断基準か(※別解説)
・KPI/KGIはなにか?(相談者・協力者・影響者はいるか
・報告ラインはどうなってるか(表・裏ルート)
・自社への賛成/中立/反対のスタンス
・仲のいい先輩・後輩(親の代まで
・誰の影響が大きいか
・趣味・家族構成など
・受付などの周囲の評判は
・役員秘書などの評判は
・組合との関係は
・異性関係など
・過去の問題行動。人事・労務・組合にチェックされているか。
◎補足 ポイント1:決済者とは異なる「EB」を見失うな。
考えるべきは決済者(ハンコを押すヒト)とはちがう「EB」とは、Economic Buyer(エコノミックバイヤー)で、決済者とは別のヒト。エンプラ営業を長くやっているほど、提案中に「ちゃぶ台返し」起きるリアルを経験するものだけど、それもEBの合意を得られなかったために起きます。
・「意思決定」と「決済」はちがう。
決済者が営業活動のラスボスと思いがち。しかし決済者の他にEBがいることを基本スタンスにしましょう。EBはすべての大企業に生息しています。しかし意思決定者ではありません。影の存在です。EBは「妨害する権」や「拒否権」を持っています。EBが意思決定者を兼ねていることはありますので、そこを見極めましょう。決済の金額や規模など「合意」が広範囲に必要な場合は、役員会で議事録を取って合議して決済するプロセスに乗らなければなりません。会社の予算とは一人で勝手に使えませんし、株主への報告義務もあります。上場企業の場合は「取締役会議」がEBになるケースもあります。
ポイント2:「チャンピオン」を味方にせよ!
もしかりに役員会がEBならば、キーはチャンピオンが握ってます。その位置づけは購買への影響力で変わります。
◎コンテンツ(ワークショップ)
1:そもそもエンタープライズの基礎体力とはなにか?
・社長から数珠繋ぎラッキー
・受付から秘書まで
・記者や番組D/Pとの関係性
2:エンプラ(大企業・行政)とSMB(スモールビジネス)のちがい
3:産業の食物連鎖とは
「すべては食物連鎖から始まる」
・政官財の食物連鎖
・重厚長大産業の食物連鎖
・消費財産業の食物連鎖
・オフィス需要産業の食物連鎖
・SaaS食物連鎖
4:SaaSプロダクトの未来ロードマップ解説力とは
5:to beの説明力とは
6:win-winのスキルとは
・ウィルを見える化するスキル
7:複数(異なる)役職や立場への翻訳スキルとは
8:エンプラ営業の仕切り力とは
9:短期、中長期スケジュールの使い分けとは
10:ROIでは説明し難いこと。とは
11:エンタープライズ営業コンテンツとは
12:顧客は自分の写し鏡である。とは
・一流は一流を好む
13:売上とは営業マンの教育費である
・商材と売上金額があなたのレベルをきめる
14:人の器がスケールを決める
・背中を押してもらえる仲間を作る
15:エンタープライズ営業の最後を(次を)イメージする
・エンタープライズ営業スキルに終わりはない
◎営業の7C
1:company 会社紹介資料
2:customer 事例紹介資料
3:competitor 競合比較資料
4:commodities 商品紹介資料
5:costomerInterview 顧客ヒアリング資料
6:costomerpropasal 提案書のフォーマット
7:contract クロージング(スケジュール/価格/ROIなど)
※NEW SALESより
ストーリー営業とは営業コンテンツをつくることでもあります。それは未来を一緒に創ることです。もし営業コンテンツに悩んだら→こちら
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